不登校保護者のお悩み ――子どもが再登校し始めたときに気を付けたいこと
子どもが再登校したら…?不登校保護者のお悩み
はじめに
今回のテーマは「子どもが再登校し始めたときの関わり方」について。
しばらく学校を休んでいたお子さんが「明日は行ってみる」と言ったり、実際に登校できたりすると、保護者さんとしてはホッとしますよね。一方で、「このまま毎日行けるかな」「また休んだらどうしよう」と、期待と不安が入り混じることもあると思います。
でも、再登校できたからといって、すぐに「毎日学校に行く」生活へ戻さなければいけないわけではありません。むしろ、学校から離れていたお子さんにとっては、ここからが疲れやすい時期でもあります。
今回は、再登校を無理なく続けていくために、どんなことを意識するとよいのか、さいとうとかざまで話してみました。
話した人
さいとう:元教員(中学・高校)。教員として多くの不登校生に関わった経験からオンラインフリースクールの立ち上げに携わり、500人以上の不登校生と保護者のサポートに関わる。ユルタ代表。
かざま:元保育士。さいとうと同じオンラインフリースクールのスタッフを務め、多くの不登校生・保護者にやさしく寄り添う。
再登校のときこそ慎重に

さいとう:再登校って、保護者さんからするとやっぱり安心すると思うんですよ。「ああ、よかった」って。
かざま:そうですよね。ずっと心配していた分、なおさらですよね。
さいとう:ただ、そこで「もう大丈夫」と思って、今まで利用していた支援をやめたり、いきなり週5日登校に戻そうとしたりするのは、ちょっと慎重になったほうがいいと思うんです。
かざま:一度学校に行けたことと、それを毎日続けられることは別ですもんね。
さいとう:そうなんです。久しぶりの学校って、どうしても疲れます。最初の数日は頑張れても、その後一気に疲れが出て、また行けなくなることもあります。
かざま:本人自身も、「意外と行けそう」と思っていて、自分が疲れていることに気づいていない場合もありそうですね。
さいとう:ありますね。だから再登校したときは、「学校に行けたから安心」よりも、「行けているけど、無理していないかな」という目線を持っておくくらいでいいと思います。

「今日は少しだけ」を守る
かざま:学校との関わり方も大事そうですね。
さいとう:すごく大事です。たとえば「今日は午前中だけ」と決めて登校したのに、学校で「元気そうだから午後もどう?」と言われて、担任の先生の判断でそのまま残されるケースがあります。
かざま:本人もその場では「大丈夫」と言ってしまうかもしれませんね。
さいとう:そうなんですよ。周りには楽しく過ごせているように見えても、実際はかなり頑張って午前中を過ごしていたかもしれない。帰宅した途端にぐったりしたり、感情が爆発したりするケースもとても多いので、すごく危険なんですよね。
かざま:せっかく「ここまでなら頑張れそう」と決めたのに、途中で予定が変わること自体が負担になるお子さんもいますよね。
さいとう:だから最初は、「午前だけなら午前だけ」と決めたら、その通り帰る。それがとても大切だと思います。周りが「大丈夫そうだから」と決めつけることは絶対にせずに、学校側にも念を押しておくのがいいかもしれません。熱心な先生ほど、良かれと思って「もっと授業受けてみない?」と言ってしまうことも多いので。

「今日休む?」の一声
かざま:再登校を自分から決めた子ほど、逆に「休みたい」と言いづらくなることもありそうです。
さいとう:それはあると思います。「自分で行くって言ったんだから、行かなきゃ」と思ってしまうことも多そうですよね。
かざま:そういうときは、保護者さんから「今日は休む?」「午前だけにする?」と聞いてあげてもいいですよね。
さいとう:うん。「明日どうする?」くらいフラットでいいと思います。学校に行くか休むかの二択じゃなくて、「午前だけ」「午後から」「別室で過ごす」みたいに、いろいろな選択肢があっていい。
かざま:「学校に行かなければいけない」ではなくて、「明日はどう過ごすのがよさそうかな」と一緒に考える感じですね。
さいとう:そうそう。保護者さんから休む選択肢を出してもらえるだけで、かなり安心する子もいると思います。

ゴールは「週5登校」?
さいとう:もう一つ大事なのは、再登校のゴールを必ず「週5日学校に行くこと」にしなくてもいい、ということですね。
かざま:週4日がその子にちょうどいいなら、週4日でもいいですよね。
さいとう:そう思います。つい最近まで週5日休んでいた子なら、週1回学校へ行けただけでも大きな変化です。学校の勉強を100%こなすことより、無理のないペースで学び続けられることや、安心して人と関われることのほうが「その子の人生全体」を見れば大事なはずなので。
かざま:「週5日行けないと、大人になったとき困るんじゃないか」と心配になる保護者さんもいそうです。
さいとう:その不安は分かります。でも、今の段階で何年も先のことまで心配しすぎなくていいと思うんです。まず、目の前の子どもの様子や表情をよく見ながら「この子が安心して過ごせているか」「無理なく続けられているか」を考えてあげてほしいですね。

「行けた」より大切なことまとめ
かざま:再登校すると、「やった、戻れた!」と思いたくなりますけど、そこから少しずつなんですね。
さいとう:そうですね。再登校はゴールというより、新しいペースを探し始めるタイミングくらいに考えていいと思います。
かざま:疲れていたら休む。午前だけにする。週に1日休む。いろいろ試しながら、その子に合う形を探していく。
さいとう:うん。「せっかく行けたんだから」と無理に前へ進ませなくて大丈夫です。行けたことは喜びつつ、今まで以上にお子さんの疲れや表情を見ていく。それくらいの温度感が大切なのかなと思います。
今回のポイント
- 再登校できても、すぐに「もう大丈夫」と考えず、疲れやストレスが出ていないか様子を見る
- いきなり週5日を目指さず、週1~2日、午前だけなど、お子さんに合ったペースから始める
- 「今日は休む?」「午前だけにする?」など、保護者さんからも様々な選択肢を提示する
- 「今日は午前だけ」など決めた予定は、本人が元気そうに見えても変更しない
その他のポイント
- 学校へ行けるようになっても、それまで利用していた支援や安心できる居場所との関係性も保っておく
- 「学校に行った日には子どもは見た目以上に疲れている」ということをコミュニケーションの前提に置く
- 「週5日登校できないと将来困る」と考えすぎず、今のお子さんが無理なく過ごせるペースを大切にする

