不登校保護者のお悩み ――新学期はがんばれていたのに6月から行けなくなった…。どうして?
新学期はがんばれていたのに…不登校保護者のお悩み
はじめに
今回のテーマは「新学期はがんばれていたのに、6月から学校に行けなくなってしまう現象」について。
4月・5月はあんなにがんばっていたのに、6月に入ったとたんに急に失速してしまった——そんなお子さんの様子に、「いったい何があったんだろう」「このままどうなってしまうんだろう」と戸惑っている保護者さんもいるのではないでしょうか。
この記事では、さいとうとかざまが、6月に不登校が起きやすい背景や、子どもへの声のかけ方について、ゆったりと語り合いました。「そういうことだったのか」と、少し気持ちが楽になるヒントになればうれしいです。
話した人
さいとう:元教員(中学・高校)。教員として多くの不登校生に関わった経験からオンラインフリースクールの立ち上げに携わり、500人以上の不登校生と保護者のサポートに関わる。ユルタ代表。
かざま:元保育士。さいとうと同じオンラインフリースクールのスタッフを務め、多くの不登校生・保護者にやさしく寄り添う。
「疲れが出やすい」季節

さいとう:シンプルに、疲れの積み重ねってあるよね。4月にがんばって、5月のゴールデンウィークでちょっと回復して、またがんばって……。それで、6月にどっと疲れが出る、っていう流れ。
かざま:がんばりすぎちゃってるんですよね。
さいとう:中学生だと、6月ってテストの時期でもあるし。学校によっては5月半ばに中間テスト、6月末に期末テストがあって。テスト結果で落ち込んじゃうのも、学校を休むきっかけになることがある。
かざま:確かに。「ダメだった……」ってなると、学校に向かう気持ちが折れちゃうこと、ありますよね。

6月の様々な“引き金”
さいとう:友達関係もあるかな。4月・5月は新しいクラスで、みんなまだ様子見モードなんだけど、6月になってくると、クラス対抗の行事なんかもあって……。それ自体はいいんだけど、ギクシャクしてしまうことがある。
かざま:クラス行事で嫌になっちゃうこと、ありますよね。
さいとう:行事に熱くなりすぎる子が「みんなで朝練しようよ!」ってなると、「いや、ちょっとしんどいな……」って思う子も出てくる。でもそれを言えなくて、「なんで協力してくれないの?」みたいな空気になってしまうと、つらい。
かざま:あるある。自分から動きたくてがんばってるのはいいんだけど、周りからも「もっと!」って囃し立てられると、しんどくなっちゃう子もいますよね。
さいとう:そういうとき、担任の先生がうまく「みんなが楽しむのが一番の行事だからね」って軌道修正してくれるクラスだといいんだけど……。
かざま:難しいですよね、なかなか(笑)。先生自身も行事に熱くなってたりするし。

湿度と身体
さいとう:あと、6月って湿度が上がってくるじゃないですか。シンプルに体調が崩れる子も多くて。
かざま:頭痛とかね。蒸し暑くてイライラするのも子どもには結構きつい。
さいとう:そうそう。周りの子がイライラしてるだけでもしんどいし、場合によっては先生がイライラしてることに子どもが影響を受けることも、全然あると思う。
かざま:先生も人間ですしね……。でも、子どもからしたらしんどいですよね。

言葉にできない“しんどさ”
さいとう:大事なのは、こういうことを子どもって大体うまく話せないんですよね。本人も自分がなぜしんどいか分かってなかったり、「これを言ったら怒られるかも」って思ってたり。
かざま:本人もしんどさの理由が分からないこと、本当に多いですよね。もやもやしてる状態のまま、ということも多い。
さいとう:だから、まず「あ、しんどいんだね」って受け止めてあげることが大事なんだと思ってる。
かざま:認めてあげることが大事なんですよね。学校に行けてないのが…とかそういうことは言わず、「今こういう状況だからしんどいんだね」って受け止めるだけにしてあげる。その後どうしていくかは子ども自身が決めることだし、自分で決めないと動けなくなっちゃう。

言語化のお手伝い
さいとう:6月から学校に行けなくなった子に、「もしかして、こういう感じだったりする?」って聞いてみることはどう思います?
かざま:いいんじゃないかなって思います。もやもやがはっきりすると「あ、私ってこれがつらかったんだ」って認識しながら動けるようになるから。ただ、決めつけみたいになっちゃうのは絶対ダメですね。
さいとう:そうだね。決めつけじゃなくて、本人の言語化のお手伝いをするぐらいの感覚。……それが難しいんだけど。
かざま:ただ、日頃コミュニケーションが取れてないと、その話すらできなくなっちゃう。なんかその日だけ「さあ、話しましょう」って感じじゃなくて、いつもの会話の延長ぐらいの気持ちで話せるといいですよね。
「がんばってたよね」
さいとう:関係がまだ築けていない場合はどうしたらいいかな。個人的には、6月から休みがちになったお子さんに「4月と5月、がんばってたからね」ってフラットに伝えるだけでも結構いい気がするんですよ。
かざま:あー、それめちゃくちゃいいかも!嬉しいですよ、子どもたちからしたら。
さいとう:原因を決めつけるわけでもなく、ただがんばりを認めてあげる。今できてないことにばかり目が向きがちだけど、まずそこを見てあげるのは、関係づくりとしてもすごく大事な気がする。
かざま:そうですね。行けてたことが当たり前になっちゃって、行けないことにしか目が向かなくなりがちだけど——4月からガラッと環境が変わった中で、今まで学校に行けていたこと自体が、逆にすごいんだって思ってあげてほしいですよね。
さいとう:本当そう。そういうスタンスで日々関わっていけると、子どもの心も軽くなるし、クラスでいじめがあるとか、重大なことも話しやすくなってくると思う。

「がんばってたよね」からまとめ
さいとう:大人でも6月って疲れますよね。4月・5月にいろいろ新しいことが始まって、6月に「あ、疲れたな」ってなる。子どもにも似たことが起きてる、って思うだけでもだいぶ違う気がする。
かざま:自分の身に起きてないから想像しづらいけど、「大人と一緒なんだ」と思えると、子どもへの接し方が変わりますよね。
さいとう:まず「がんばってたこと」と認めて、しんどさを受け止めながら、ゆっくり一緒に言語化していく。そんな関わり方が、6月の不登校には特に大事かなと思います。
かざま:うん。焦らず、寄り添っていきましょう!
今回のポイント
- 6月の不登校は「疲れの蓄積」が大きな要因
- 4月からの疲れが6月に出やすい
- 学校行事やテストが引き金になることも
- 子ども自身、「なぜしんどいか」を言葉にできていないことが多い
- 「4月・5月、がんばってたよね」からスタート
- 「できていないこと」より「できていたこと」を認める言葉を
その他のポイント
- 梅雨の湿度が体調や気分に影響することも
- イライラは気候由来のことも
- 日頃からのコミュニケーションを大切に
- 大事な時の関わりも日常の積み重ねから
- 何かあったときも、いつもの会話の延長で

