不登校保護者のお悩み ――「学校に行きたくない」と言われた日、どうすればいい?

突然の「行きたくない」不登校保護者のお悩み

はじめに

今回のテーマは「『学校に行きたくない』と言われたとき、保護者さんはどう受け止めて、どう動けばいい?」。

朝のバタバタの中で急に言われると、頭が真っ白になったり、「どう返すのが正解なの?」って不安が一気に押し寄せますよね。

この記事の対談では、さいとうとわかやなぎが、「行きたくない」はサボりではなく“限界のサイン”かもしれない、という視点から、家庭でできる初動や、学校との付き合い方、外部の力の借り方まで、具体的に話していきます。

話した人

さいとう元教員(中学・高校)。教員として多くの不登校生に関わった経験からオンラインフリースクールの立ち上げに携わり、500人以上の不登校生と保護者のサポートに関わる。ユルタ代表。

わかやなぎ:2児の母。さいとうの15年来の友人。長男が小学校~中学校まで不登校になる。

“限界のサイン”かも

さいとう:相談でも多いんだけど、「学校に行きたくない」って言われたとき、どう答えたらいいか迷うんだよね。

わかやなぎ:うん。私はあとで本とか動画をめっちゃ見て腑に落ちたのが、「行きたくない」って言葉は“始まり”というより、もう限界を超えたサインなんだってこと。サボりたいからじゃなくて、頑張りすぎてキャパを超えた結果なんだよね。

さいとう:世間のイメージに「サボってる」っていう誤解があるの、本当よくないよね。真面目で頑張り屋の子ほど、静かに限界まで行っちゃう。

わかやなぎ:そう。だから“無理をさせて乗り越えさせる”ってより、「今はもうエネルギーが切れてる」って受け止めるのが先かなって。

落ち着いた時間に向き合う

さいとう:でもさ、理想は「話を聞く」なんだけど、朝って無理じゃない?「ええっ」ってなるし、あと何分で出るのに…って。

わかやなぎ:分かる。朝はまず連絡もしなきゃだしね。

さいとう:そう。会社に連絡、学校に連絡、もうそれで手一杯。話を聞く余裕がない。

わかやなぎ:だから私は、朝いきなり深掘りしなくてもいいと思う。大事なのは「落ち着いた時間に向き合う」こと。

さいとう:うんうん。「今は結論出さなくていい」って保護者さん側が思えるだけで、空気が変わるよね。

わかやなぎ:あと、理由って本人がすぐ言語化できないこともあるし、低学年ほどそういう傾向があると思う。後々になって「あれが負担だった」って分かることもある。

さいとう:だから「話せるタイミングを作る」「話しても大丈夫な空気を残す」くらいが初動としては十分なのかもね。

“しなきゃ”の罠

わかやなぎ:うちの場合、今振り返ると、みんなが頑張りすぎた結果だったなって思う。担任も熱心で、親も「協力しなきゃ」ってなって、子どもも頑張りすぎて…結果、追い込んだ。だから「単純に休ませればよかった」って。

さいとう:わかやなぎさんの場合は宿題も絡んでたよね。

わかやなぎ:うん。宿題をものすごく嫌がってたの、今思えばサインだった。なのに「やりなさい」「やらなきゃ」って、親も“しなきゃ”に乗っかっちゃった。

さいとう:宿題って、先生は「やったほうがいい」って信じて出してるからさ、「やらなくていいよ」って言う先生、ほんと少ないんだよね。

わかやなぎ:そう。しかも引っ越してきて半年で、不慣れな環境で本人も親も先生もみんな頑張っちゃって。「宿題やりなさい」「これもしなきゃ」って、保護者側も一緒に乗っかって追い込んだなって思う。

さいとう:先生側にも「やらなくてもいいよ」が言いづらい空気、あるんだろうね。「ゆるめたら誰もやらなくなるんじゃ」みたいな不安。

わかやなぎ:でも子どもって、自分で乗り越えられそうなものは自分で乗り越えていく。でも、友だち関係とか先生からの要求とか、キャパオーバーなものは「頑張れ」では乗り越えられない。

家庭だけで抱えない

さいとう:「宿題軽減」はできなかったの?

わかやなぎ:数は減ったけど、本人は一切やりたくない。でも先生が毎日家に来て課題を持ってくるの。「もうやらせない」って言っても持ってくる。

さいとう:そこまで来ると、家庭だけで交渉するの、消耗するよね…。

わかやなぎ:うん。うちは不登校が長くなってきて、「保護者だけだと先生と話ができない」って痛感した。下手すると“モンスターペアレント”扱いで、話し合いが進まない怖さもあった。だから専門家の意見を仰いだ。

さいとう:第三者が入ると、空気が変わることあるよね。

わかやなぎ:そう。病名がないと支援が受けられない場合もあるって分かって、オンラインで精神科につないでもらって、ASDの特性の「お墨付き」をもらった。そこからようやく「この特性に合わせた声掛けが必要」って学校と話せた。

さいとう:現実として「言い方を整える」「根拠を揃える」って、学校と交渉する時の武器になるんだよね。僕も何人かの不登校のケースで家庭と学校の間に入ったことがあるけど、保護者さんだけでしんどいときは、外部の力をどんどん頼るのが良いと思う。

「特性」に合った配慮

わかやなぎ:うちはまず精神科にオンラインでつないでもらって、ASDの特性の“お墨付き”をもらった。それでようやく「この特性に合わせた声かけが必要です」って学校と話し合えた。

さいとう:さらに検査も?

わかやなぎ:特別支援の人に来てもらってWISCなどをやったら、協調性運動の課題からの書字の困りも分かった。書くスピードが遅いのに「1分で何問」みたいな授業があって、できない→評価が下がる→自己肯定感が削れる、の悪循環だった。専門家の助言と検査結果があって、先生の対応がやっと変わってきた。

さいとう:逆に言うとそこまでやらないと変わらないケースも多いんだよね…。たとえば熱量の高い教員って良かれと思って「クラス全員で達成!」みたいな圧を子どもにかけちゃうんだけど、教員本人にとっても教育観とか成功体験とかがあるから、「親の声」だけじゃなかなか変わらなかったり。

変化のきっかけ

わかやなぎ:回復のきっかけは中学に上がってからかな。最初から特別支援学級にしてもらって、自分のペースでゆっくり学べるようにした。

さいとう:環境が合うって、ほんと大きい。

わかやなぎ:中学でも朝「行きたくない」はあったけど、行かなかった日は先生が夕方に必ず来てくれて、「今日はどうした?」って聞いてくれた。理由が体力テストとか「行事」が苦手って分かって、先生が「やるかやらないか、やるならどこまでやるか」を事前に決めてくれた。

さいとう:事前に選択肢があるだけで、怖さが減るんだよね。

わかやなぎ:そう。嫌な理由を先生が書いて「見える化」して、一個ずつ解消していってくれた。いちばん良かったのは、すべてを「本人に決めさせてくれた」ってこと。その先生は、選択肢とそれぞれのメリット・デメリットをちゃんと説明してくれて、どんなときも子どもに判断をさせてくれた。そんなやり取りが半年くらい続いたら、急に毎日楽しく学校に行くようになって、本人も「ここまでならできる」って相談できるようになった。

さいとう:なるほど、そういう関わり方がお子さんに合ってたんだね。「大人がちゃんと説明して、最後は本人に決めてもらう」って、とても大事なことだと思う。

味方を増やすこと

さいとう:でもさ、学校現場って当たり外れがあるのも事実で…。

わかやなぎ:正直、不登校は「先生ガチャ」だと思う。でも味方を増やすのが大事。「この先生はダメだ」と思ったら、教育委員会とか専門家とかNPOとか、信頼できる人を見つけて一緒に関わってもらう。学校が動かない場合もあるから、家庭で抱え込まないのが一番大事。

さいとう:家庭の雰囲気が悪くなって泥沼化するのは、ほんと避けたいよね。

学び直しは後からでOK

さいとう:あと大事なのが、休むならちゃんと休むこと。心の中で「今、学校では何の時間だよね」って気にしてると、あんまり休めてない。

わかやなぎ:分かる…。でも先生に「遅れます」って言われ続けると、保護者さんも揺れるよね。私は「今やらなくても、中学でもいくらでも挽回できる」って思ってるけど、先生には信じてもらえなかった。

さいとう:全然やり直せるよ。実際、中2だけど小4から算数が止まってた子でも、数ヶ月で授業が分かるようになったりする。

わかやなぎ:「今の遅れ」より「回復して動ける状態」を優先した方が、結局は早いんだよね。

親以外との会話の重要性

わかやなぎ:あとね、誰か間に入って安心感を作るのは大事。うちはオンライン家庭教師で、親以外の人と喋る時間を作れたのが本当にありがたかった。

さいとう:学校とか家庭以外の人と子どもが話すことで、その子どもの良いところが見えてくることも多いよね。オンラインとか外部のサービスを使いながら“我が子を知る”のが大事だと思う。

わかやなぎ:保護者さんが全部背負わなくていい、ってことだよね。

さいとう:うん。「保護者さんが楽になる」は、子どもにも効くからね。

「子どもが決める」ためにまとめ

さいとう:「行きたくない」はスタートじゃなくて、限界のサインかもしれない。まずはそこから見方を変えるのが大きいね。

わかやなぎ:うん。朝に答えを出そうとしなくていいし、「後で話せる空気」を残すだけでも十分。

さいとう:そして学校とのやり取りは、家庭だけで抱えない。専門家や第三者を入れて“チーム”で動く。

わかやなぎ:休むときはゆっくり休んで、学び直しは後からでも間に合う。そこを信じられると、保護者さんの不安も少し軽くなると思う。

さいとう:そうだね。そのほか、大人の関わりとして気を付けたいことはある?

わかやなぎ:どんなことも、とにかく「子ども本人が決める」ことかな。

さいとう:なるほど、保護者さんや学校以外のいろんな人の力も借りていきつつ、「子ども本人が決める」ことを応援できるといいね。

今回のポイント

  • 「学校に行きたくない」は“サボり”ではなく、頑張り過ぎた結果の「限界のサイン」と捉える
  • 朝に結論を出そうとしない
    • 「落ち着いた時間に話す」「話せる空気を残す」が初動として十分
  • 学校対応は家庭で抱え込まない。
    • 第三者(専門家・支援者)を入れると交渉が進みやすい
  • とにかく「本人が決める」
    • 大人がするのは選択肢の説明まで
  • 休むときは“ちゃんと休む”
    • 学び直しは後からでも間に合う、を家庭の軸に
その他のポイント
  • 「苦手」を“見える化”して、やる/やらない/どこまでやるかを事前に決めると負担が減る
  • 「先生ガチャ」でも、味方は増やせる
    • 教育委員会・専門家・NPOなど、外側の支援も含めてチームを作る
  • 親以外の大人との会話(オンライン家庭教師など)は、安心の回復スイッチになることがある

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