不登校保護者のお悩み ――学校行事がつらそうな子どもに、どう向き合えばいい?

学校行事がつらそう不登校保護者のお悩み

はじめに

今回のテーマは「学校行事がつらい子どもへの向き合い方」。

運動会、合唱コンクール、修学旅行……学校行事って楽しいイメージがある一方で、実はつらく感じているお子さんも少なくありません。「なんかちょっとしんどい」と言い出せないまま、じわじわとダメージが蓄積してしまうこともあります。

「うちの子、行事の前になると元気がないな」と感じている保護者さんがお子さんに対して出来ることを、さいとうとかざまが、じっくり話しました。

話した人

さいとう元教員(中学・高校)。教員として多くの不登校生に関わった経験からオンラインフリースクールの立ち上げに携わり、500人以上の不登校生と保護者のサポートに関わる。ユルタ代表。

かざま:元保育士。さいとうと同じオンラインフリースクールのスタッフを務め、多くの不登校生・保護者にやさしく寄り添う。

学校行事なぜつらい?

さいとう :今日は運動会や修学旅行など、広く「学校行事がつらい子への向き合い方」について話しましょう。学校行事って、楽しい子ももちろんいるけど、つらい子もいますよね。

かざま :そうですよね。具体的にどういうところがつらいんでしょう? 人が集まるとか、みんなのテンションが違うとか、そういうところなのかな。

さいとう :人によって違うと思いますけど、たとえば朝練がしんどいとか、走るのが苦手なのにリレーで「もっと練習しよう」と言われるとか。本人はまったくやりたくないのに、ということは普通にありますよね。それで「だから学校行きたくない」というほどにはならなくても、じわじわとダメージが蓄積する一因になっていることは多いと思います。

かざま :確かに。それが積み重なると、だんだん重くなってきますよね。

さいとう :あと、行事をきっかけにクラスの雰囲気が微妙になることもあります。修学旅行の計画でもめたり、合唱コンクールで対立したり。不登校に直結するかどうかは別として、つらさのきっかけにはなりやすいと思います。

「みんなでがんばろう」の圧力

さいとう :僕は以前学校教員だったんですが、若手の頃はクラス一丸で行事に取り組む雰囲気を作りたくなるんですよね。でも途中から、「嫌だと思ってやっている人のことも頭の片隅に置いておかないといけない」と意識するようになって。

かざま :私は一生懸命やるタイプだったんですけど、すごく熱血な子が怖かった記憶があります。ちゃんとやっている側でもそう感じるんだから、やりたくない子はもっと怖かったでしょうね。

さいとう :そうだと思います。生徒に伝えるために、「もし“数学コンクール”があって、問題を解くのが遅いとクラスから文句を言われたり、スピードを早く解けるように朝練しよう、と言われたらどう?」って聞いたことがあって。そしたら何人かが「それ、マジで不登校になる」って言って。でも僕はまさに、行事でつらくなっている話ってそういうことだと思っているんです。

かざま :確かにそれはなりますね(笑)。でも行事への参加を「みんなでやる前提」で進められてしまうのが、しんどさの根本にある気がします。

保護者にできること

さいとう :じゃあ、自分の子どもが行事でちょっとしんどそうにしているとき、保護者さんはどんな声がけをしてあげたらいいと思います?

かざま :難しいですよね。「行かなきゃいいじゃん」「休んじゃえ」って言いたくなるんですけど、みんなで一緒にやる場だから、そこから外れることで余計しんどくなるパターンもあって。

さいとう :そうなんですよ。休んだことで今度は友達に責められる、なんてことも起きやすい。テストの欠席とは状況がちょっと違うんですよね。あと気をつけたいのが、「ちょっと嫌だな」という話を聞いた時に、すぐ「じゃあ行くの? やめるの?」って2択にしてしまうのは、少し言い過ぎかもしれない。

かざま :そうですね。嫌だって言っているだけで、参加したくないってわけじゃないこともありますよね。

さいとう :そう。「やるんだけど、ちょっとしんどい」っていう状態の子って結構いる。だから保護者さんも、まずは「しんどいよね」って受け止めてあげることが大事で。そこで「みんなやってるんだから無理してでも行きなさい」と言ってしまうと、そのもやもやが溜まって、本当に行きたくなくなることも全然あります。

「しんどい」と言える家庭に

かざま :行事ってどこか「やりたくないって言えない雰囲気」がありますよね。だからこそつらくなってしまうというか。「嫌だ」ってちょっとでも言える場所があるだけで、だいぶ楽になると思います。

さいとう :本当にそう。「嫌なこともあるよね。でもあと何日だから、もうちょっとだよ」って言ってもらうだけで、全然気持ちが違うと思う。

かざま :ただ「がんばれ」と言われるのと、しんどいと分かってもらった上で励ましてもらえるのとでは、受け取り方がぜんぜん違いますよね。

さいとう :そうだよね。あと、行事って期間限定のしんどさでもあるから、「今だけだよ、ずっとじゃないから」と伝えてあげるのも効果的だと思います。

かざま :そうそう。終わった後に「がんばったね」って言ってあげるだけでも。それと、言葉だけじゃなくて、子どもの好きな食べ物やドリンクをさりげなく用意してあげるのも、「見てるよ」というサインになりますよね。

さいとう :いいですね、それ。「おつかれさま」を言葉以外で伝えるというか。見ていてもらえていると分かるだけで、全然違いますよね。

「言える場所」をつくるまとめ

さいとう :今日の話をまとめると、「学校行事がつらい子への向き合い方」の第一歩は、家庭に「言える環境」をつくること、かな。

かざま :うん。「嫌だ」って言っていいんだって思えるだけで全然違います。参加する・しないよりも、まずそこですよね。

さいとう :「嫌だ」を受け止めてあげて、「でも今だけだよ、がんばってね」って寄り添ってあげる。それだけで、子どもの気持ちはだいぶ軽くなりますから。

かざま :難しいテーマだけど、結局はシンプルに「聞いてもらえてる」という感覚が大事なんですね。

今回のポイント

  • お子さんが「行事がしんどい」と話してきたら、まず「しんどいよね」と受け止める。
    • すぐに「じゃあ休む?」「じゃあがんばる?」と解決を急がない
  • 「嫌だ」と言うことと「参加したくない」は別
    • 気持ちを吐き出せる場所をつくるだけで、心が軽くなることがある
  • 行事は期間限定のしんどさ
    • 「今だけだよ」「あと○日だよ」と伝えることで、子どもが見通しを持ちやすくなる
  • 終わった後には「がんばったね」と一言
    • 見てもらえているという安心感が、次への力になる
その他のポイント
  • 家庭は「本音を言える場所」に
    • 学校が「一丸となろう」とする時期ほど、家庭では「つらい」を言える雰囲気が大切
  • 「参加する・休む」の二択にしない
    • 子どもの話を聞くだけで安心感につながることも
  • 子どもに疲れが見られたら、さりげない「おつかれさま」のサインを
    • 声掛けのほか、好きな食べ物や飲み物を用意してあげるのも効果的
  • 行事後の疲れも想定しておく
    • 終わったら元通りになるとは限らない
    • 翌日以降に休息が必要になることも、あらかじめ見込んでおく

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