不登校保護者のお悩み ――「不登校支援サービス」どれを選ぶ?
「不登校支援」どれを選ぶ?不登校保護者のお悩み
はじめに
今回のテーマは「不登校のお子さんに合った支援サービスの選び方」について。
今はSNSやネット上にたくさんのサービスが並び、どれを選べばいいのか分からなくなることがありますよね。「間違えたらどうしよう」「子どもがまた傷ついたら…」と不安になるという声もよく聞かれます。
この記事では、さいとう・かざま・ゆっきーの3人で、実際の支援現場の経験を踏まえながら、サービス選びのポイントをゆったりと語り合いました。
少しでも保護者さんが安心して選択できるようなヒントになればうれしいです。
話した人
さいとう:元教員(中学・高校)。教員として多くの不登校生に関わった経験からオンラインフリースクールの立ち上げに携わり、500人以上の不登校生と保護者のサポートに関わる。ユルタ代表。
かざま:元保育士。さいとうと同じオンラインフリースクールのスタッフを務め、多くの不登校生・保護者にやさしく寄り添う。
ゆっきー:元役者。さいとう・かざまと同じオンラインフリースクールのスタッフを経て、現在は独自の不登校生向けサービスの立ち上げを行う。
合う・合わないは自然なこと

さいとう:世の中にサービスが多すぎて、何が合うのか迷う保護者さん、多いですよね。選ぶときの一番のポイントってなんだと思います?
ゆっきー:まずは、合わなかったときに“自分がダメだった”と思わなくていいということが大事だと思います。実際の現場でも、「試したけど合わなかった…」と落ち込む親子を見てきたので。
でも本当は「ここじゃなかったんだな。じゃあ次を試そう」でいいと思うんですよね。
さいとう:うんうん。「いろいろ試してOK」というスタンス、大事ですよね。子どもは不登校の時期ってすごく繊細だから、合わなかった=自分のせいだと思い込みがちで…。
かざま:だからこそ、保護者さんが“気軽に試していいんだよ”って空気を作れるといいですね。

入会前の「お試し体験」は?
さいとう:いきなりサービスに入って「やっぱり違った」となると子どもにとっても負担なので、事前に面談をするのも大事ですよね。
かざま:「お試し体験」ってどうなんでしょう? 使ったほうがいいのかなと思いつつ…。
ゆっきー:運営側は「気軽に試してほしい」と思ってることが多いんですけどね。でも保護者さんや子どもは「断りにくい」「申し訳ない」と感じることも多いのかな。
さいとう:サービス運営者としては「合わなければ遠慮なく言ってくださいね」と心から思っているんですが、保護者さんや子どもにとっては完全に気軽に、というのは難しいですよね。
かざま:不登校の時期って、新しい人に会うだけで体力を使うんですよね。
さいとう:だから元気な時に体験しておくのもアリかもしれないですね。「あの人なら大丈夫かも」と思える相手を知っておくと、つらくなった時に思い出せるから。

子どもが「自分で選ぶ」こと
かざま:保護者さんが主導で進めすぎると、うまくいかないこと、多くないですか?
さいとう:そう思いますね…。特に不登校の“なりたて”の時期は、子どもがネガティブになりやすくて「勝手に申し込まれた」と感じてしまったり。
ゆっきー:だから、まずは「こういうサービスがあるみたいだよ」と紹介するくらいがいいかもしれないですね。そこから子どもが少しでも「気になるな」と思ったら一緒に動けばいいと思います。
さいとう:子どもを無理やり連れて行っても続かないと思うし、むしろ逆効果になる子もいますよね。

まずは回復
ゆっきー:そもそも、心がしんどい時期は、誰かと会うこと自体が難しかったりしますよね。「同年代の友達を作ろう」とか「大人と話せる場所に行こう」とか、そういうことができるのは、もう少し回復してからのことが多いですよね。
さいとう:本当にそうなんですよ。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの方への相談をするときも注意が必要で、その方自身がどんなにいい人でも「スクール」という名前の「学校っぽさ」だったり、「面談場所が学校」ということだけで構えてしまう子もいるんですよね。
かざま:確かに。場所や肩書きだけで緊張してしまう子もいます。
ゆっきー:そういう子にとっては、学校色の薄い民間の小規模サービスや、1on1で関われる大人がいるところを選ぶのは、すごく効果的ですよね。

大規模? 小規模?
さいとう:僕の感覚では、心がつらい状態の子どもは小規模サービスのほうが「誰が関わるのか」が分かるので安心しやすいと思っています。大規模なサービスだと、代表の方の発信で「いいな」と思って入ったけれど、子どもを担当する人が全然違う感じだったり、ということも結構あるので。
ゆっきー:うん。大規模なところのメリットは、人が多いから「仲間がほしい」「趣味の話をたくさん共有したい」みたいな子には向いていること。
かざま:なるほど、たしかにタイプによって良い形が違いますよね。
ゆっきー:そう。人が多い場所が合う子もいれば、まずは一人の大人と関係を作ることが大事な子もいる。それを見極めるだけでも、すごく選びやすくなると思います。
焦らず 子どものペースでまとめ
さいとう:最初の話に戻りますが、「合わなかったら次でいい」と気軽に捉えることは本当に重要だなと思います。
かざま:うん。そして、保護者さんが焦りすぎないこと。焦りは子どもにすぐ伝わりますしね。
ゆっきー:そうそう。まずは家で安心して過ごせる状態をつくること。そのうえで、お子さんが少しでも「気になる」と言えたら、それは大きな一歩だから、一緒に軽く試してみるくらいで十分。
さいとう:サービスを使うことが目的じゃなくて、子どもの回復を支えるための「選択肢の一つ」なんですよね。ゆっくり進んでいけば大丈夫だなと思います。
ゆっきー:うん。そこから「大規模か小規模か」とか「どこのサービスを利用したいか」とかを、子どもと話しながら考えていくのがいいのかなと思いました。
今回のポイント
- 「合わない=失敗」ではない。
- 「合わなければ次を試せばOK!」くらいの気持ちで
- 子ども主体で進める。
- 無理に連れて行かない、少しの興味を手がかりに
- 元気な時に体験しておくのも有効。
- しんどい時に“安心できる相手”を思い出せる
- サービスの規模で選ぶ。
- 小規模は安心感、大規模は交流の広がりがメリット
その他のポイント
- 学校色の強い支援は、タイミングによって子どもが構えてしまうことも
- 不登校支援は公的・民間に関わらず「対応してくれる人」次第
- 当たり外れもあるため、SNS発信や代表者の顔が見えるかをチェック
- 回復初期は「誰とも会わず家で過ごす」ことも大切な選択肢。
- 家庭で安全感を育てることが何よりの基盤になる

