不登校保護者のお悩み ――「休ませることは甘やかし?」
休ませることは甘やかし?不登校保護者のお悩み
はじめに
今回のテーマは「休ませることは甘やかしなのか?」という不安について。
お子さんが学校を休む日が続くと、「このまま休ませていていいのかな」「甘やかしているだけなのでは」と心がざわつくのは、ごく自然なこと。
さらに、SNSやネット記事には「不登校は甘え」「厳しさが必要」といった一方的な情報も多く、周囲の家族や親戚からも心ない言葉を向けられて傷つくこともありますよね。
この記事では、そんな不安を抱えやすい保護者さんに向けて、さいとうとかざまが、肩の力を抜きながら丁寧にお話ししました。“休むこと”の意味や、周囲との向き合い方について、一緒に考えていきます。
話した人
さいとう:元教員(中学・高校)。教員として多くの不登校生に関わった経験からオンラインフリースクールの立ち上げに携わり、500人以上の不登校生と保護者のサポートに関わる。ユルタ代表。
かざま:元保育士。さいとうと同じオンラインフリースクールのスタッフを務め、多くの不登校生・保護者にやさしく寄り添う。
甘やかし? わがまま??

さいとう:このテーマ、本当に多いですよね。「休ませるのは甘やかしなのでは?」という不安。
かざま:ネットにもありますよね。「不登校は甘え」とか「わがままなんじゃないか」みたいな記事。
さいとう:SNSでも、そういう意見は見かけます。しかも、周りの人から直接言われることもあるんですよね。家族や親戚から……。
かざま:そういう言葉って、保護者さん自身がつらくなりますよね。ストレスがたまって、ついお子さんにきつく言ってしまったり。
さいとう:でもね、「休むことが必要なときに休む」のは甘やかしじゃないんですよ。大人だって、メンタルが限界なら仕事を休んで立ち直ったりしますよね。
かざま:そうそう。「2~3日休んだら、また行けそう」って大人なら思えるのに、子どもには厳しくしがちなんですよね。

“がんばってきた” 子どもたち
さいとう:不登校の子って、実はすごくがんばり続けた結果パンクしちゃう子も多いんです。「わがままを言わないように」と我慢してきて。
かざま:うん。学校を休んでいること自体に罪悪感を抱えて、自分を責めている子、多いですよ。
さいとう:焦りや罪悪感が強いと、家庭で言葉が荒くなることもある。でもそれを「甘やかしすぎたからだ」と結びつけちゃうと、保護者さんも苦しくなるんですよね。
かざま:本当は“ちゃんと休めていない”ことが根本にあるのに、つい「甘やかしてるのかな」と感じてしまう……。

「甘やかし」と感じる背景
かざま:甘やかしだと感じてしまうときって、結局「子どもをコントロールできなくなったとき」なのかなって思うんです。
さいとう :ああ、なるほどね。
かざま:「こうしなさい」「それはダメ」と言って従わなくなったときに、「私、甘やかしちゃったのかな…」って自分を責める流れになる。でも、それで厳しくしはじめると、子どもはもっとストレスがたまって反発して…悪循環になるんですよね。
さいとう:色んな家庭で聞いてきたけど、本当に“悪循環サイクル”ですよね。子どもが言うことを聞かないように見えるときって、実は理由があることが多い。だからまずは安心できる環境で話をゆっくり聞くこと。
かざま:うんうん。休むことを「悪いこと」にしてしまうと、家でも学校でも気を張るしかなくなるから、もっとつらくなっちゃう。
さいとう:しっかり休ませること、話を聞くこと。遠回りに見えて、一番の近道なんですよね。

「甘やかし」と言われたら?
さいとう:でも、周りから「そんなに簡単に休ませていいの?」と言われたら、どうしたらいいんでしょうね。
かざま:正直、「うるさい!」って言いたいですよね(笑)
さいとう:外から見ている人ほど言いがちですからね。
かざま:でも、その人たちは状況の全部を知らないんです。いちばん近くで見てきた保護者さんが決めた判断に自信をもってほしいですね。

「休みが必要な理由」を言葉に
かざま:周りに何か言われたときのために、「なぜ休ませているのか」を言葉にしておくのはおすすめです。
さいとう:たしかに。それが根拠になる。
かざま:たとえば
「このまま登校を続けたら、うつ状態になると思った」
「毎日泣いていたから、まずは心の回復を優先している」
…そういう“保護者としての判断”を持っておくだけでも、自信になりますよね。
さいとう:そして周りとの誤解も減ると思います。
休むことは「未来への準備」まとめ
さいとう:休むことは決して甘やかしじゃないですよね。むしろ、壊れてしまう前に休むのはすごく大事。
かざま:そう思います。休むことは遠回りに見えて、実は一番の近道なんですよね。
さいとう:きちんと休んで、話せる空気があって、安心が確保される。そこから少しずつ動き出せる。
かざま:うん。「今日休んでいいんだよ」「まずは元気を取り戻そうね」と伝えられるだけで、お子さんは救われますからね。
今回のポイント
- 休息は「未来への準備」。早めの休息が長期の不調を防ぐ
- 子どもが安心して休める環境づくりが最優先
- 子どもの話を傾聴したり、子どもの自己肯定感を高める声掛けをすると安心感が増す
- 子どもが反発しているときの背景には疲労や不安がある
- 罪悪感・焦り・ストレスが強いと、家庭内で荒い言動になることも
- 外からの意見は状況を知らないことが多い
- “休ませる理由”を言語化しておくと、周囲からの揺さぶりに強くなれる
その他のポイント
- 保護者さん自身がストレスを抱えると、子どもとの関係に影響しやすい
- “コントロールしようとする関わり”は悪循環を生みやすい
- 子どものストレスは“早めに休むことで防げる”ことがある
- “昔の価値観”より、今の子どもに合わせたアップデートが必要

